RSウイルス(RSV)は生後2歳までにほぼ100%の乳幼児が初感染を受け,以後再感染を繰り返す。その中で初感染で30-40%が下気道炎を発症し,1-3%が重症化する。RSV感染の重症化、喘鳴の遷延,気管支喘息の発症・増悪への関与に対して,現在有効な予測因子や予防・治療法は確立されていない。そのため気道上皮細胞の自然免疫応答解析を行うことにより分子標的・ワクチン治療を補完しうる効果的な免疫賦活・抑制経路を見出すことを目指している。
本テーマでは2018年度MSD生命科学財団の感染症領域の助成を受け研究を行なっている。
ヒト小児咽頭扁桃は外来病原体・吸入抗原に対する生体防御の最前線に位置する粘膜組織であり,小児期(4-6歳)に最も発達を示す.咽頭扁桃は粘膜直下にリンパ濾胞を有する免疫誘導組織であると同時に鼻粘膜上皮に類似した上皮構造を持つ. 本テーマでは粘膜組織での主要抗原提示経路のうち,1) 抗原取り込みに特化した上皮細胞,microfold cells (M細胞)経由 2) 樹状細胞経由の2経路に注目し,発現マーカーや活性化状態,抗原取り込み,提示能力について詳細な解析を行う予定である.これらの検討は効果的な粘膜免疫誘導法の探索,および免疫誘導阻害効果検討に基づいた治療戦略の確立へつながるヒト組織を使用した基盤研究である。
本テーマでは2018-2020年度文部科学省科学研究費 基盤Cの助成を受け研究を行なっている。